中国で現地スタッフを率いる、日本人管理者の方へ

「どうにか
クビにできませんか?」

これ、中国で現地スタッフを率いる日本人管理者の方から、本当によくいただく相談です。

もしかしたら、今このページを読んでいるあなたも、思い当たる顔が浮かんでいるかもしれません。

あるとき、こんなご相談がありました。

ある日本人管理者のAさんが、上司を連れて、少し疲れた顔で相談に来られました。

「Bさんは、とにかく仕事ができないんです。ホウレンソウはできない、日報も書けない。前任者の評価も低かった。他の従業員とも仲が悪い。今すぐ辞めてもらう方法を教えてください。」

こんなお話でした。

話を聞いていくと、Aさんの苛立ちはよくわかります。ただ、客観的に聞いている中には「これは解雇に相当するほどの、Bさんの明らかな過失だ」と言える具体的な出来事は、出てきません。

こういうケース、実はとても「あるある」なんです。

「すぐに、お金をかけずに」は、無理筋!

中国の法律では、「いつでも使えて、すぐに合法的に辞めてもらう」方法が1つだけあります。それは、法に定められた経済補償金を最低限として支払い、本人の同意を得る「協議による合意解除」です。(合意解除ですから、中国でなくても合法でしょうけど)

もうひとつの方法は、時間がかかります。能力不足を時間をかけて証明したうえで、職場転換か教育・研修を経て再評価し、それでもダメなら……という道です。しかし、この方法でも法律に定められた経済補償金を支払う必要があります。

Aさんのご要望は「今すぐ、お金もかけずに」。

私は、正直にお伝えしました。

「残念ですが、現状ではその方法はありません」

そして、こう続けました。

「でも、選択肢は2つあります。

選択肢 1合意してもらうために、お金を積む。
選択肢 2クビにするのをいったん置いて、Bさんを育ててみる。

考えてみると、もしBさんが仕事ができるようになったら、クビにしなくて良いということですよね?

それに、もし育たなかったとしても、その教育期間がそのまま「能力不足を証明する期間」にもなります。

どちらにしますか?」

Aさんは、少し考えてから「育てる」を選びました。

変えたのは、「指示の出し方」だけ

Aさんは日本側でも部下を持ったことがない、マネージャー経験がないとのことでした。

「自分に、育てるなんてことができるのだろうか?」

そんな不安があるとも、吐露してくださいました。

そこから毎月1回、Aさんと一緒に「Bさんの育て方」を考える時間を持ちました。

日本人管理者が中国人従業員に「仕事ができない」と感じる原因の多くは、実は中国人従業員が「仕事の仕方がわからない」だけだったりします。この原因は、本当に「あるある」です。

日本人駐在員による日本語の指示は、実は非常に「抽象的」であることが多いんです。たとえば、「訪問して、お客さんのニーズを聞いてこい」とか。

これ、日本語を外国語として認識している中国人従業員からすると、非常に抽象的(曖昧な指示)なんです。具体的に何をすれば良いのかが見えにくい。

「ニーズ」って何?

どんな情報があれば「ニーズの有無」は確認できるのか?

この辺りが、まったく指示されていない。

なので現場では、「この商品、要りませんか?」といきなり直球の質問をして、相手から「要らない」と言われたら、社内に帰って「この会社にニーズはありませんでした」と報告する……とか。こういうことが、実は頻発していたりします。

そこで、具体的な行動の指示にしましょう、と提案しました。

これまで「お客さんのニーズを聞いてこい」
これから「○○の問題で困っていませんか、と聞いてきて」
これまで「お客さん回りをしてこい」
これから「△△社に行って、**という問題に今どう対応しているかを聞いてきて」

指示を1つに絞って、具体的にする。

ただ、これだけです。

その効果は、すぐに現れました。

まず、自然に「ホウレンソウ問題」が解消していました。

Bさんは戻ってくるたびに、自然と報告をするようになりました。それだけではなく、「お客さんからこう言われたのですが、どうしたら良いですか?」と相談をしてくるようになりました。

「ホウレンソウをしろ」とは、一言も指示していないのに、です。

また、上司としても指示内容が1つしかありませんから、「あの件どうだった?」と思い出しやすい。その結果、AさんとBさんの間のコミュニケーション量が、自然と増えていきました。

たった8ヶ月で、

こんなことになりました。

Bさんは、社内で売上No.2の
営業マンになっていました。

No.1は、大きな既存顧客を担当している古参の営業マンです。Bさんは新規開拓だけで、社内No.2の売上実績を挙げてくれたのです。育成を始めてから、1年を待たずにです。

それだけではありません。お客さんから「Bさんみたいに優秀な人、どうやって採用したんですか?」と聞かれるほどでした。

「クビにしたい」と言っていたAさんは、今では「そんなこともありましたね」と、当時のことを笑っておられます。

お金を積んでクビにするか、クビにするのを諦めて育成するか。この選択が、会社に極めて大きな成果をもたらすことになりました。

そして、話はここで終わりません。

部下の育て方に悩みながら、破綻していた部下との関係を修復し、少しずつ信頼関係を築いていったAさん。数年後、現地法人の総経理(社長)に就任されています。

突破口は、すでに目の前にあった

新しい人を探さなくても、特別なテクニックがなくても、今いる人の中に、そして自分自身の中に、突破口はありました。

足りないものを補うのではなく、
今あるものから突破する。

私が一番大切にしている考え方です。

この考え方について、近日中にページを公開予定です。

まずは、お話してみませんか?

もし、同じようなことでお悩みの方がいらっしゃいましたら、私でよろしければ、お話をお伺いします。

「辞めてもらう」と決める前に。まだ自分でもよくわからない、モヤモヤのままで大丈夫ですので。

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「コゾノ式」について

相談の言葉どおりではなく、
その奥にある「本来の目的」から考える。

「クビにしたい」という相談の裏には、「仕事ができるようになってほしい」という本来の目的が隠れていました。コゾノ式は、見落とされているその目的に立ち返り、ご相談を「どちらに転んでも前に進める対策」に転換します。

1

相談の裏にある「本来の目的」を見つける

2

うまくいけば会社も本人も得をし、最悪の場合でも次の判断につながる選択肢をつくる

3

選ぶのは、相談者ご自身