◎ 2020年2月12日の外務省安全通知をどう読むか?

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有料のクライアント様向けにメールマガジンで配信した独自情報ですが、内容の重要性からコチラで公開・共有することにしました。ぜひご一読ください

◎2020.02.14=========================◎◎◎

  コゾノ式  良┃く┃な┃る┃通┃信┃ [Gold]
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コゾノです、、

2月12日に[速報]でもお知らせしていた日本の外務省から発布された安全情報は、日本でも話題になっている
ようです。

参考:『中国における新型コロナウイルスに関する注意喚起(その10)』
(「早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急ご検討ください。」)
出所:外務省 海外安全ホームページ

[速報]では、日本総領事館の知人に直接問い合わせた情報として、

■ 日本として上海の危険レベルを引き上げたということではない 

とお伝えしていました。

同12日付の上海日本総領事館からのメール案内「定期便」でも以下のように記載していました。

引用:『感染症危険レベルについては,引き続き,湖北省全域についてレベル3(渡航は止めてください(渡航中止勧告)),その他中国全土についてレベル2(不要不急の渡航は止めてください)となっています。』
出所:在上海日本総領事館発メールマガジン 新型コロナウィルス関連情報(定期便)2月12日配信号

『危険レベルが変わらないのに、
「早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急ご検討ください。」って、どういうこと??』

・・・とお感じになられたのではないでしょうか?

また、

『実際の対応は、どうすれば良いの??』

『帰れって言われても。。
 本社からの指示もないし、子供の学校の問題もあるし、、』

などとお困りの方もいらっしゃるかもしれません。

何件かこの件について個別でご相談をいただきました。

そこで、今回は『現状をどう読むか??』について私見たっぷりにまとめてみました。

私見ではありますが、私自身の『SARSの経験(ついでにエボラも)』と、2018年の朝鮮危機があった際に調査していた『危機管理』の情報、そして、現在出回っている硬軟おりまぜた『新型ウィルス情報』に基づいていますので、ご安心ください。

ただ、このお話をするかどうかかなり迷いました。
余計なご不安を与えかねない、、と思ったからです。

しかし、お伝えするには、「今」しかないと思い、意を決してお話しすることにしました。

 

 「こういう考えもあるな」
 「こういう風に考えれば良いのか」

 

など、思考の整理や何かのヒントにしていただければ嬉しいです。

では、参りましょう。

先に結論として、コゾノの考えるポイントを3つにまとめました。

3つのポイント

(1)『上海が「危険度レベル3」に引き上げられたら駐在員、帯同家族の帰国を真剣に考えよう』と思っているなら「今」動くべき

(2)「感染の危険度」の対応と「不安に飲み込まれている周囲からの目」の対応を分けて考える

(3)『わからない』を受け入れる

 
以下、順番にご説明していきますね。

(1)
『上海が「危険度レベル3」に引き上げられたら駐在員、帯同家族の帰国を真剣に考えよう』と思っているなら、「今」動くべき

なぜか?

日本の外務省が上海を「危険度レベル3」に引き上げたら、帰国しようという方が大挙して押しかけることになるかもしれないから

です。

どういうこと?

3つの観点からご説明します。

┃1┃ 後の中国発日本行きの飛行機は、減便が確実

実際に、「レベル2」の現在でさえ上海発日本行きのフライトはここまで少なくなっています。
▼コチラ▼
※2020年2月11日〜2月28日までのフライト予定(LCCは除く)

通常、旅客機の乗客数は1便で200〜400人。
対して上海の常住在留邦人の人口は減っているとは言え、万単位でしょう。

これから航空会社がどこまで便を減らしてくるかはわかりませんが、今なら「明日発の便」ですら予約可能です。

しかし、実際に「レベル3」に引き上げられたらどうなるでしょうか? 

危険度が「レベル3」になっている武漢市は、空港も封鎖されているのはご存知かと思います。

すぐに停止とはならないかもしれませんが、確実に今よりもさらに減便されることは確実です。

加えて、日本に行きたい人は日本人だけとは限りません。
中国人の方も避難したいという想いは同じでしょうから。

『日本政府がチャーター機を飛ばしてくれるから大丈夫でしょ!』

と思う方がいらっしゃるかもしれません。
果たして、本当に大丈夫でしょうか?

「レベル3」になったら、上海だけでなく江蘇省などの周辺エリアからも帰国希望者が殺到するかもしれません。

数千人、数万人規模の帰国希望者全員を1便200〜400人の飛行機で全て渡航させることが果たして可能でしょうか?

・・・こうなってからでは「遅い」かもしれません。

でも、今なら(2月14日現在)「明日発の便」ですら予約可能なんです。

┃2┃ 本来の『緊急対処要領』は「5段階」

『上海が「危険度レベル3」に引き上げられたら駐在員、帯同家族の帰国を真剣に考えよう』

コレについて考察していますが、そもそも「危険度レベル3」とは何の基準なんでしょうか?

この基準は、日本の外務省が定義しているに過ぎません。

日本外務省定義の安全レベル

レベル1:『十分注意してください。』
 その国・地域への渡航、滞在に当たって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。

レベル2:『不要不急の渡航は止めてください。』
 その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。
 渡航する場合には特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。

レベル3:『渡航は止めてください。(渡航中止勧告)』
 その国・地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。
(場合によっては現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります。)

レベル4:『退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)』
 その国・地域に滞在している方は滞在地から安全な国・地域へ退避してください。
 この状況では,当然のことながらどのような目的であれ新たな渡航は止めてください。

出所:日本 外務省海外安全ホームページより引用

この基準は世界共通でも何でもありません。

以前に、私自身が「プロ」の方から教えてもらったことがあります。

その方は、軍事訓練も受けたことがあり、テロが頻発する地域で『危機管理』の最前線にいらっしゃった筋金入りのプロです。その方からお伺いすると世界のスタンダードとしての『緊急対処要領』は「5段階」なんだそうです。

5段階緊急対処要領

 Level1:通常体制(LOW)
 Level2:注意喚起(MODERATE)
 Level3:警戒警報(SUBSTANTIAL)
 Level4:退避勧告(SEVERE)
 Level5:全員退避(CRITICAL)

重要なのは、ここからなのですが、

『この各レベルの定義は自分(自社)が決める』んだ、、と。

 そして、、

『外務省の海外安全基準に準拠している日本企業が多いが、危機の時に「みんなと同じ行動」をするということは、「みんなが危険になる」ということを理解しておかねばならない』

『外務省の「レベル3」になったら、みんなが動く。
そうなってからではもう遅いんだ』

、、、とおっしゃっていました。

外務省の安全情報が「レベル3」になったら、一斉に「帰国命令」などが出てくるんじゃないかと思います。

飛行機の減便も拍車がかかるでしょうし、もしかしたら、上海の空港も「封鎖」という考えたくもない事態になるかもしれません。

それなのに、

「みんなが同じタイミングで帰国」しようとしたらどうなるでしょうか??

・・・ということなんです。

なんでこんなことをコゾノが知っているのか?
実は、2018年の朝鮮危機があったときにかなり真剣に調査していました。

この情報は、日本で『有事対応』のセミナーがあった際に参加して講師だったプロの先生に直接聞いてきた話です。

また、日本総領事館の「邦人保護担当」の警視庁から赴任してこられていた担当領事にも直接お会いして直接お話もお伺いしてきたこともあります。

そして、私自身の「1995年のエボラ出血熱騒動」「2003年のSARS騒動」の体験。

こうした活動や体験を通して、痛感したことがあります。

それが3つ目です。

┃3┃『危機』の基本は「自分の身は自分で守る」意識

 「自分の身は自分で守る意識」

身もふたもない話ですが、これに尽きます。

『いざとなったら、日本や会社が守ってくれる』

・・・この思いは、残念ながら幻想です。

誤解をして欲しくないのですが、冷たく見捨てられる、、という意味では決してありません。

「いざ!」というときは日本総領事館さん(日本政府)も会社もきっと「守ろう!」と必死になってくれるでしょう。

少なくとも、そうであると信じたいですよね。

・・・ただ。

 『限界』があるんです。

飛行機に搭乗できる人数は、1便で最大400人です。
希望者数万人では、輸送できる「限界」があります。

総領事館には、万が一の危機に備えて食料や水、毛布の備蓄もしておられます。

でも、その数は200〜300人分、、なんです。

数万人にはとても対応できません。

 『限界』があるんです。

『外務省の安全情報が「レベル3」になったら、自分も・・・』ではなく、
「レベル3」になったら「みんながどう動くか?」を考えていただくことが重要
かもしれません。

だからこそ、「自分の身は自分で守る意識」が重要なんだと思います。

駐在員さんの使命には、『会社の海外資産を守る』ことも含まれていますから、全員が今帰国することは不可能だと思います。

『そんな人事権ないよ』

といったご意見もあるかもしれません。

ですが、「帯同家族だけ帰国させるように本社に具申する」ならできるかもしれません。

もし、あなたが

『上海が「危険度レベル3」に引き上げられたら駐在員、帯同家族の帰国を真剣に考えよう』と思っておられるのなら、「真剣に考える」タイミングは「レベル3になってから」ではなく「今」なんだと思います。

ここまではよろしいでしょうか?
次に進みますね。

(2)
「感染の危険度」の対応と、
「不安に飲み込まれている周囲からの目」の対応を分けて考える
(3)
『わからない』を受け入れる

・・・この(2)と(3)

『は?? 何のことですか??』

と思われたかもしれません。。

非難を覚悟で、私自身が個人的に考えていることをお話します。

誤解を恐れずに率直に表現すれば、

● 『新型肺炎』そのものの危険度は、恐れるほどではない。

 しかし、

● 日本にいる人にとって、私たち在留邦人は『恐怖の対象』

こんな風に考えています。

そして、SARSを体験した私にとって、この「後者」の影響の方が正直「怖い」です。

この『恐怖の対象と見られることによる影響が』今ならギリギリで「まだマシ」だと感じています。
特にお子さんがいらっしゃるなら、

 ◎ 『今』が、帰国するタイミング

と考えています。

私にとって『新型肺炎』そのものに対する恐怖は「実態がよくわからない」ことだけ、、なんです。

今、ネットを中心に様々なウワサが飛び交っています。

『生物兵器が漏れたんじゃないか!?』
『実際の感染者数や死亡者数は、発表の数十倍も多いのでは!?』
『飛沫感染だけでなく、エアロゾル感染も疑われている』
『検査が陰性でも、治癒せずにウィルスは残り続けて感染させる力はある!?』

などなど。。

本当なのかどうか、よくわかりません。。

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

それよりもわかっていることがあります。
そこを見ていきましょう。

■ インフルエンザの感染者、日本で年間約1000万人
■ インフルエンザでの死亡者、日本で年間約1万人
■ インフルエンザでの死者の多くは高齢者、もしくは重大な基礎疾患を持つ人(日本)
■ インフルエンザでは子供の死者も、脳に重大な後遺症が残ることも(日本)
■ 「肺炎」は日本の死因で第4位
■ 「肺炎」の死亡率、日本で約7〜9%

これ、全部日本の数字です。

感染者数、死亡者数だけで見たらスゴイ数字です。
インフルエンザもこじらせると肺炎になります。
肺炎は、日本の死因で4位。死亡率7〜9%もあります。

とはいえ、

『新型肺炎もインフルエンザと同じ程度なので気にするな』

ということではありません。

『インフルエンザも非常に危険な感染症』という理解が適切なんだと思います。

だからこそ、「マスク」をして、「手洗い」をして、「消毒」もして、『風邪もひかないほど健康な体』を意識することが

 ◎「今できる病気の対応」

なんだと思っています。

話を戻します。 

『新型肺炎』も、感染者数は発表数値よりもはるかに多いのは確実でしょう。

だって、感染しているかどうかの確認に専門機関で1週間ほど必要なほど難しい検査が必要なんですから。

武漢で病院に行列を作っている人、全員がその検査を受けているとは到底思えません。

感染者が多ければ、死者数も必然的に多くなるでしょう。

日本のインフルエンザでさえ年間で1万人亡くなっておられますから。

『新型肺炎』の死亡率は、現在では2〜3%とされています。

しかし、ある日本のお医者さんがこんなコメントをしておられました。

『武漢の病院の様子を動画で見たが、あの状態だったら人工呼吸器どころか、酸素ボンベも足りないだろう。あの状態なら、本来助かる人も助からない状態だろう』

と。

・・・つまり、『新型肺炎』による死亡者も発表よりもはるかに多いかもしれないが、ウィルスそのものによる死亡率ははるかに低いとも考えられる、、と。

今、アメリカでインフルエンザが猛威を奮っていて既に8000人もの人がお亡くなりになっているそうです。

この背景もアメリカでは国民皆保険制度がなく、医療費がバカ高い。
なので、重症化してからでないと病院に行かない人が多いので必然的に日本よりも死者数は多くなってしまう、、からなんだとか。

情報は、切り取り方によって受け取る印象が大きく変わります。

ただ、『新型肺炎』については、隠蔽体質の中国が発表している情報なのでどこまでが本当なのか信じられない。

つまり『まだよくわからない』

ココが、不安材料なのではないでしょうか。

『よくわからない』ことは、『わからないまま』にしておくだけで良いんです。
考えたところで、真実なんてわかりませんから(笑)。

それよりも『わかること』を見るように意識する。

これが、

『わからない』を受け入れる

の意味です。

これ、意識しないとホント難しいです。

『わからない』は、非常に居心地が悪いですから。
なので、『わからないまま』にしたくない。
何か納得できる「結論」が欲しくなります。

日本のマスメディアは、不安・恐怖を刺激するコトバを使いまくっています。

 「死」「感染」「兵器」「コウモリ」「ネズミ」「野生」「パンデミック」「遺体」「隔離」などなど。

どこもかしこもこんな「恐怖ワード」で埋め尽くされていますからどんどん「不安」が増大します。

「不安」を内に抱えていたら、見えるもの全てに「不安」が投影されます。

そして、重要なのは、、

● 「不安」という感情は、他人に「感染する」

これを知っておいてください。 

私たち在留邦人が、日本に帰ると「大きな不安」に感染してしまった周囲の人からは、私たちは『恐怖の対象』に見られてしまいます。

そんな人に『大丈夫だから』と主張しても、、
残念ながら通用しません。

『日本のインフルエンザでは、年間1万人も死んでいる』などと説明しても、全く聞く耳は持ってくれないでしょう。

だから、

「感染の危険度」の対応と、
「不安に飲み込まれている周囲からの目」の対応を分けて考える

なんです。

日本に帰ったら、ヒドイ「言葉の攻撃」を受けるかもしれません。
「バイキン扱い」されます。
「差別される側の気持ち」を強制的に味わうことになるかもしれません。

悲しいかな、これが「現実」なんですよね。

・・・これ、キツイです。
私、SARSで体験させられましたんで。。

子供には、こんな体験して欲しくありません。

私の家族は、運よく学校の始業が遅れたことで『春休みの帰省ができなくなるかもしれない!今のうちだ!』と先週帰国しました。

今考えると、良いタイミングだったと思っています。

私は、今も上海ですが。。

一人なら、身軽ですからね。
今回も帰国せず、上海で状況をお知らせし続けるつもりです。

・・・と、
この原稿を書いている今、またニュースが飛び込んできました。

『新型肺炎、国内初の死者 神奈川県の80代女性』
『和歌山県に住む50代の男性外科医が新型コロナウィルスに感染』
『東京都内のタクシーの男性運転手の感染を同日確認』

ますます「不安の感染」は拡大すると思われます。

そして、この「不安の拡大」のピークを迎えるのは、まだこれから先、、、でしょうね。

操業再開が本格化してくるであろう、2月末頃でしょうか。

 『今』なら、「まだマシ」です。

これも「帰国予定があるなら、考えるのは『今』ですよ!」という理由です。

日本に帰れば、誰に言われなくても自主的に「10日間の自宅待機」をするのは、『不安に思う周囲の人のため』です。『オレは感染なんてしていないのに隔離なんて筋違いだ!』は違いますよ!

万が一、万が一ですよ。感染していたとしても、日本で隔離される方が環境ははるかにマシでしょうし、安心具合も天地の差でしょう。

『新型肺炎の実態、真実』は、これから明らかになってきます。それまでは『わからない』を受け入れるようにがんばってみてください。

『子供の学校はどうすれば良いの??』

とご不安な方、朗報があります。

学籍を日本人学校においておけば、卒業もできます。
今、日本の学校では中国から帰ってきた児童は「特別扱い」として日本人学校を「退学」することなく日本の学校に「仮入学」させてくれる学校が増えてきているそうです。

ポイントは、教育委員会や市役所ではなく学校長に直接問い合わせてみること。

ぜひ、試してみてください。

今帰るのが良いのか、
帰らないのが良いのか。

そこに正解はありません。

ただ、
『もう少し危険になったら帰りたい』ということなら『今』考えてください。

それが、

参考:『中国における新型コロナウイルスに関する注意喚起(その10)』
(「早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急ご検討ください。」)
出所:外務省 海外安全ホームページ

コレで伝えたかったこと、、なのではないでしょうか。

いかがだったでしょうか?
少しでもご参考になったのであれば嬉しいです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

コゾノ式 良くなる人事・組織研究所:小園英昭