◎ コゾノ式 良 く な る 通 信 ◎ 第28号
なるほど!派遣規制(その2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━:2013.08.21発刊:◎◎◎
◎ 28号のポイント
『意見徴収案』から読み取れる 
● [3つ(+1)の対策]と、
● [4つの違反事項とその罰則]
 おはようございます!
 小園でございます。
 さて、今回は[意見徴収案]なのに、力作になっちゃいました、、編です。
 題して、、
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         ◎ なるほど・派遣規制 (その2)
    『意見徴収案』から読み取れる[3つ(+1)の対策]と
            [4つの違反事項とその罰則]
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 今回の[意見徴収案]を「マルハダカ」にしてやりましたので、
 ご興味があれば、ぜひご一読ください。
 複雑・難解だった「罰則」の表現も、方々に確認して
 しっかり読み取っておきました。
また、独自に入手した、
 ☑ 上海市政府系の「ウラ話」や、
 ☑ 弁護士が提出予定の「意見提案」の情報
なんかも盛り込んでいます。
 ぜひ、今後の[要注意ポイント]がどこになるのかをチェックして
 おいてください。
 それでは、今回も最後までご一読ください。
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 <今回のポイント>
◎ なるほど・派遣規制 (その2)
    『意見徴収案』から読み取れる[3つ(+1)の対策]と
          [4つの違反事項とその罰則]
 [3つ(+1)の対策案]
   1.中期的には、派遣は機動性が高まり「臨時性」中心へ
   2.業務をマル請けの「業務委託」を実質的に許可
   3.子会社を設立して、マルごと「出向」させる方法もOKに
  (+1).注意されたら「ごめんなさい」で「送り返し」作戦(!?)
 [4つの違反事項とその罰則]
  ● 会社が注意すべき[派遣規制]の違反事項は、4つだけ
   1.[同一労働同一賃金]違反
   2.[三性(補助性、臨時性、交替性)]違反
   3.[総量規制(補助性10%以内)]違反
   4.[適法ではない派遣会社を使う]違反
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  労務派遣の若干規程(意見徴収案)に関する公開意見徴収の通知
                         (2013年8月7日)
 ※ 意見徴収案(原文)はコチラから
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 今後の[要注意ポイント]がどこになるのかをチェックしておこう!
 というテーマでお送りしている今回のシリーズ。
 前回は、今回の[規制案の3つのポイント]をご紹介しました。
 コチラでした↓↓。
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 1.派遣従業員は「無固定期限契約」が、強制ではなく同意に
 2.派遣従業員の「送り返し」条件が緩和
 3.[2013年7月1日以前の派遣契約]は満了まで有効となる
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 意見案の公表が遅れたのは、当局側の[大義名分]を飲む代わりに
 国営企業群が、[実利]を得る「交換条件」を交わしたからでは!?
 と憶測してみました。
今回は、その
● 国営企業群が盛り込んだ[実利]対策とは!?
に踏み込んで解説していきます。
 今後「おそらく、こうなっていくであろう」対策案とは、以下の3つ。
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   1.中期的には、派遣は機動性が高まり「臨時性」中心へ
   2.業務をマル請けの「業務委託」を実質的に許可
   3.子会社を設立して、マルごと「出向」させる方法もOKに
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 当初、『いよいよ、グレーゾーン突入か!?』と思われたのですが。。
 弁護士に確認したところ、全く同意見。
この3点については、
● グレーでも何でもなく、法律文からそのまま読み取り可能
つまり、『真っ白』な対策案でした。
 ・・・ただ。
 最後の(+1)に変なのが付いてます。
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 (+1).注意されたら「ごめんなさい」で「送り返し」作戦(!?)
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これが「うまくいくのか?」、、、については『 グレー 』です。
 しかし、弁護士も『 この法律(ルール)だったら可能 』と指摘
 しています。
「うまくいくかも??」と思われる情報も・・・??
それは、また後ほど。。
 それでは、以下1つづつ解説していきましょう。
 まずは、コチラ。
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 1.中期的には、派遣は機動性が高まり「臨時性」中心へ
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 現役[派遣会社]の経営者に確認してみたところ、こんな意見でした。
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 ● 今後の流れとしては、派遣の[無固定期間契約]が義務でなくなり、
   [送り返し]の条件が緩和されたので、[派遣]については
   【 6ヵ月以内の[臨時性]職位 】になっていくと思う。
 ● 現状から[派遣手数料を値上げするのは困難]なので、今後は
   [送り返し]の場合には、満了まで[最低賃金分の支払い]を
   明確に契約に盛り込まなくてはならない。
 ● 中期的には間違いなく現状よりは[派遣利用]が減少していく
   ことになるだろう。
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あと、同時にこんな話もしていました。
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 ● 上海では、[補助性]の職位を派遣することも、スグにはなく
   ならないと思うよ。
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・・・と。
 以前のメールマガジンでも触れていたのですが、今回の「派遣規制」
 が本格的に行われる前に、各地で当局が[実態調査]を行っています。
 上海市の[実態調査]では、他地域や北京労働部、総工会が強く主張
 するような[重大な違法派遣]は、ほとんど見られなかったそうです。
なので、[上海市の当局は、派遣に肯定的]なんだそうです。
でも、全国規程なので、仕方なく(?)やっていると。。
 実際、現在でも上海市としては、
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 ● 積極的に派遣実態を調査・監督するような行動は取っていない
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んだそうです。
・・・上海ならあり得るかもしれません。
 現に、[外国人の社会保険加入]についても、未だに[強制]されない
 ままですので。
 次です。
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 2.業務をマル請けの「業務委託」を実質的に許可
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 [意見徴収案]第2条
 会社が[業務委託会社]に業務を委託する際に、
 委託会社の従業員の仕事を[会社が直接管理する]ことがある場合は、
 [労務派遣に属するとみなす]。
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 日本で一時期問題になっていた[偽装派遣]は禁止します、と。
 ただ、ウラを読み取れば、
●[業務委託会社の管理者が管理]するのであれば[派遣ではない]
ってことです。
以前にご紹介した、大手国営企業が今回の規制前から行っていた対策
 ● 派遣会社と共同出資の[業務委託会社]を設立して、製造の業務を
   マル請けする
という方法を「認める」内容になっているとも言えるかも知れません。
しかし!
[業務委託会社]を設立するには、、
● 経営範囲に[製造業務]を含んでいなければならない
というのが弁護士の意見でした。
 ・・・となると、資金力も必要になるため、大手国営などかなりの大資本
 会社でないと実現は難しい対策案になってしまう、、、という状態でした。
ところが。。
 今回の[意見徴収案]では、さらなる[抜け道]が用意されていました!
 それが、次の項目です。
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 3.子会社を設立して、マルごと「出向」させる方法もOKに
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 [意見徴収案]第38条 1項
 会社が[委託・任命]の方法で、本会社の従業員を
 [上級単位、あるいは所属単位]に赴かせ働かせる行為は
 [労務派遣とみなさない]。
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まず、[上級単位、あるいは所属単位]が分かり難いですよね。
これは、
● 親会社、子会社の「タテ」の関係がある関連会社
とお考えください。
この「タテ」の資本関係がある会社には、
 ● 自社の従業員に命じて[親(子)会社で働かせてOK]と。
 ● [派遣]には当たらないので、[10%規制も該当しない]と。
こういう[抜け道(?)]も用意されていました。
 ※ ちなみに「国外へ行かせる」「法人ではなく個人に行かせる」も
  [派遣ではない]と規定しています。
ただし、
● 同じ親会社を持つ「ヨコ」の関係である[兄弟会社]はダメよ。
という事になります。
この方法であれば、、
● 経営範囲に製造業が[含まれていなくても]OK
 ってことですので、幾分か[委託会社設立]よりもハードルは低く
 なるかもしれません。
いかがでしょうか?
 このように読み取っていくと、[規制もするけど新しい形態も認める]
 が共存している[案]になっているとも言えそうです。
そして、もう1つ。(+1)の対策案があるのですが、それは後ほど。。
 ちなみに、9月7日を期限に行われている、各界からの[意見提案]に
 弁護士会からは、こういった意見を盛り込んでいるそうです。
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 ◎ 親子の「タテ」関係だけでなく、兄弟の「ヨコ」関係も認めて!
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と。(ナーイス・アシスト!?)
その他、
 [2012年12月28日以前が有効]なのか?[2013年7月1日以前が有効]なのか?
 という[労働契約法の修正]と[意見徴収案]内の「法律的な矛盾」の問題
 については、、
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 1.[三性(臨時性、補助性、交替性)]:[2012年12月28日以前]が有効
 2.[総量規制の比率]:意見徴収案が確定した[正式版の施行日以前]が有効
 3.[派遣会社の許認可]:[2013年7月1日以前が有効]
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 ・・・と、法律的な整合性を取るように提案しているそうです。
 
 はてさて。
 こういった[抜け道案]も、[正式版]ではどうなっていくのでしょうか?
要注目です!
最後に、[違反した場合の罰則]についても、チェックしておきましょう。
 [意見徴収案]の表現がややこしいのですが、以下のようにお考え頂ければ
 大丈夫です。
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 ● 会社が注意すべき[派遣規制]の違反事項は、この4つだけ!
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   1.[同一労働同一賃金]違反
   2.[三性(補助性、臨時性、交替性)]違反
   3.[総量規制(補助性10%以内)]違反
   4.[適法ではない派遣会社を使う]違反
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 ● 4つの違反の[罰則]は、②③だけ別途罰則が付加。他は全て同じ。
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□ 1.2.3.4.の違反があった場合
 Step1:[改善命令]
   ⇒ 違反内容に応じて、当局から[期限付き]の[改善命令]発布
   ↓
 <期限内での[改善がない場合]>
   ↓
 Step2:[罰金]
   ⇒ 派遣1名当たり[5,000元]~[10,000元]の[罰金]
□ 1.4.の[罰則]は、ココまで。
 □ 2.3.は以下の[追加罰則]
   ↓
 <[罰金]後、[1ヵ月以内]に[改善がなされない場合]>
   ↓
 Step3:[直接雇用]とみなす。
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 このようになっています。
 [違反事項]に該当するのは、4つだけですので。
 この4つが[対策すべき事項]になります。
 そして、もう1つあります。
 最後の(+1)の対策案です。
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 (+1).注意されたら「ごめんなさい」で「送り返し」作戦
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コレについて、ご説明します。
 まず、前回の号でご紹介した内容に、こういうのがありました。
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 ● まずは、現状を[総量規制の範囲内]にすることを実施。
 その後、
 ●[7月1日以降]入社の[規定を超える]派遣の受け入れは[OK]
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今回の[意見徴収案]は、こう読み取れる内容になっています。
じゃ、[7月1日以降]に「新しい会社」作っちゃえば・・・!?
そして、上記の[Step1]をご覧ください。
 違反があった場合、まずは
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 Step1:[改善命令]
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なんです。
 いきなり[具体的な罰]が来るのではなく、[改善しなさいよ]という
 命令が来ます。
このときに、「ごめんなさい」します。
 そして、派遣会社に「三性(総量規制比率)オーバーしたので」という
 理由で、「送り返し」しちゃう、、、ってことができてしまう!?
しかも、上海の現役の派遣会社経営者がこう言ってました。
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 ● 上海市の当局は、派遣に[肯定的]。
 実際、現在でも上海市としては、
 ● 積極的に派遣実態を調査・監督するような行動は取っていない
 ————————————————————–
・・・と。
 ということは、、、ですよ。
 この[意見徴収案]がそのまま通過してしまった場合。
 可能性として、、、ですが
● 「改善命令」が来ないまま・・・
 なんてことがあるのかもしれない、、と。
 「外国人の社会保険」のように。。
もちろん、リスクは伴いますが。
 ・・・まとめると、こんな「感じ」です。
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 1.現状を[総量規制]の範囲内におさめる
 2.おさめた後は、[総量規制]を超える[派遣]を受け入れる
 3.ただし、その[派遣]には[同一労働同一賃金]を実践する
 4.そのまま運用して、、
 5.当局からの「改善命令」が入れば、「ごめんなさい」して、
 6.派遣会社に[送り返す]
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 ※ 1~6までを既存の会社で行えば『真っ白』な方法。
  ただ、5で「改善命令が来ない」は『グレー』。
  2以降を「新会社でやっちゃう」も『グレー』かも。。
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 ・・・これができちゃうと「規制」が、実質的な「骨抜き」になり
 ますよね。
 この「作戦」については、大手派遣会社の顧問弁護士をしている
 先生も、派遣会社の経営者も「可能になっちゃうよね」と指摘
 しておられました。
 繰り返しますが、まだ[意見徴収案]の段階ですので。
 確定したワケではありません。
ただ、[派遣規制]が「骨抜き」になりかねない
●[要チェックポイント]
として、覚えておいてください。
 意見徴収の締め切りは、9月7日。
 まだ、細則の全容は明らかになっていません。
新しい情報が入れば、スグにこのメールマガジンでお知らせします!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
コゾノ式 良くなる人事・組織研究所:小園英昭
