◎ コゾノ式 良 く な る 通 信 ◎ 第54号
[基礎知識]シリーズ(その4)
悩ましい中国の[高温手当]、実務のQ&A(上海市編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━:2014.07.07発刊:◎◎◎
◎ 54号のポイント
◎ 上海市[高温手当]事情 よくあるご相談「7つのマメ知識」
小園です、、
いよいよ夏らしくなってきました!
今回も「中国の夏」を象徴する(?)[高温手当]についてです。
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● 実務直結!
上海市[高温手当]事情 よくあるご相談「7つのマメ知識」
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コチラをお送りします!
「よくあるご相談」内容別にまとめておきましたので、
「気になるところだけ」でもチェックしておいてくださいね。
それでは、今回も最後までお楽しみください。
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<今回のポイント>
● 実務直結!
上海市[高温手当]事情 よくあるご相談「7つのマメ知識」
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(1)[通勤時だけ]高温下にあるっていう要求にはどうする?
(2)『ウチは、清涼飲料水を与えてるから[高温手当]は支給しない』
は、OKなのか?
(3)[高温手当]は、[最低賃金]に含めて良いのか?
(4)[高温手当]のトラブルは、労働仲裁に持ち込めるのか?
(5)月額の高温手当を「欠勤」によって控除する場合の給与計算は
どうすれば良いのか?
(6)もし、7月・8月になって「高温手当の引き上げ」が行われたら
どうすれば良いのか?
(7)【浙江省】オフィスで働いている従業員でも支給は[義務]なのか?
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7つもありますので、できるだけ簡潔にサクッと行きましょう!
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(1)[通勤時だけ]高温下にあるっていう要求にはどうする?
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前回の「53号」で、上海市では
● 空調のあるオフィス内で勤務する従業員の場合
⇒ [32度以下]で働く従業員には[高温手当]は[不要]
とお伝えしました。
でも、もしかしたら従業員さんからこんな要求があるかもしれません。
『 総経理!
会社の通勤のときは、35度の高温になることもあるんだから
私にも高温手当を払って下さい! 』
さて、こんな場合はどうするのでしょうか?
◎【 高温手当のマメ知識(1)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
当然[高温手当・適用外]でOKです。
上海市の行政が運用する相談窓口でも「明言」するようになっています。
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どうぞ、ご安心ください。
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(2)『ウチは、清涼飲料水を与えてるから[高温手当]は支給しない』
コレは、OKなのか?
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◎【 高温手当のマメ知識(2)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
ダメです。
清涼飲料水などの水分補給は[高温手当とはベツモノ]で提供するよう
に求められています。
◎◎◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎
上海市では、通知に明記されています。
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上海市企業[高温季節手当]基準の調整に関する通知
(滬人社綜発[2011]43号)
二、企業は、労働保護の[高温手当]を支給すると[同時に]、
継続して夏季作業場では[清涼飲料水]を提供しなければ
ならない。
http://www.12333sh.gov.cn/200912333/2009xxgk/zhxx/gfxwj/ldbc/201107/t20110704_1131433.shtml
出所:上海市人力資源社会保障局(2011年7月1日)
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ご注意くださいね!
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(3)[高温手当]は、[最低賃金]に含めて良いのか?
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◎【 高温手当のマメ知識(3)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
ダメです。
「最低賃金の通知」に明記されています。
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上海市の該当通知(最低賃金の通知)は、▼コチラ▼です。
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上海市最低賃金の通知(沪人社綜発[2014]6号)
http://www.12333sh.gov.cn/200912333/2009xxgk/zhxx/gfxwj/201403/t20140328_1160243.shtml
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ですので、[屋外で働く]従業員さんや、
[33度以上になる職場]で働く従業員さんの場合、
● 6~9月の4ヶ月間の[最低賃金]は、
手取り[1820元]+ 高温手当[200元]=[2020元]
になります。
ご注意くださいね。
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(4)[高温手当]のトラブルは、労働仲裁に持ち込めるのか?
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◎【 高温手当のマメ知識(4)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
はい。[労働仲裁]で受理されます。
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[労働仲裁]は裁判所ではなく、人力資源社会保障局の管轄です。
仲裁に持ち込まれた場合、この「マメ知識」に記載している裁決となる、、
とお考えください。
ちなみに[住宅積立金]は、人力資源社会保障局の管轄ではありません。
なので、[労働仲裁]では受理されません。
ご参考まで。
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(5)月額の高温手当を「欠勤」によって控除する場合の給与計算は
どうすれば良いのか?
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◎【 高温手当のマメ知識(5)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
上海市の場合、以下の計算式で[欠勤分を控除]することができます。
● 高温手当の[日給]計算式:200元÷21.75日=9.2元
控除の方法(1):
当月[高温手当額]= 9.2元 × 当月出勤日数
控除の方法(2):
当月[高温手当額]= 200元-(9.2元×欠勤日数)
(1)(2)いずれかの方法のうち、「病気休暇」などと同様に社内で
[給与控除]するときに通常用いている方法で計算する。
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2011年から、上海の高温手当は[月額200元]に変更されました。
1日、2日欠勤したような場合の[当局公認]の給与計算式が上記です。
注意が必要なのは、[日給換算]するときの計算式です。
中国の[日給]は、[月給÷21.75日]で算出するよう法律で計算式が
定められています。
つまり、31日ある月も、28日しかない月でも、稼働日に関係なく
[日給]は[21.75日]で割って算出することになります。
ですので、、、
●方法(1):日給に[出勤した日数]を掛けて算出した[月給]の額
●方法(2):[欠勤した日数]分の[日給]を控除した[月給]の額
この[計算結果が異なってしまう]ことになります。
「病気休暇」など、自社で通常「控除する」場合に用いている計算方法
を適用してください。
一般的には、、
◎ 欠勤によって「控除する」場合は、(2)の計算式
◎ 入社・退社時のときは「加算する」(1)の計算式
を用いています。
知っておいてください。
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(6)もし、7月・8月になって「高温手当の引き上げ」が行われたら
どうすれば良いのか?
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◎【 高温手当のマメ知識(6)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
原則として、「6月にさかのぼって支給」となるとお考えください。
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上海市の現在適用されている[2011年版]の通知が発布された
ときが、「6月にさかのぼって対応する」ことになっていました。
上海市では、2014年も[2011年版]の通知内容で高温手当の
対応をすることになる線が濃厚ですが、もし途中で改正された場合は
[高温手当の適用対象期間]である6月にさかのぼって支給すること
になるかと思われます。
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(7)【浙江省】:オフィスで働いている従業員でも[義務]なの??
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[浙江省]では、2014年7月より新しい[2014年版]の高温手当
通知が発布されています。
[浙江省]の通知には、上海市と違い「3種類の手当額が明記」されて
います。
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【 [浙江省版]通知内容 】
(1)高温作業に従事する従業員: 225元/月(従来:200元/月)
(2)非高温作業に従事する従業員: 180元/月(従来:160元/月)
(3)一般作業員: 145元/月(従来:130元/月)
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通知内容だけを見ると、[非高温作業の従業員]にも、オフィスで働く
[一般従業員]にも支給しなければならないように見えますよね。
念のため[杭州市]と[寧波市]の当局に直接問い合わせてみました。
その回答は・・・
◎【 高温手当のマメ知識(7)】━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
【浙江省】([杭州市]・[寧波市]の双方とも)も上海市と
[同じ回答]になっています。
つまり、、
(1)高温作業者(屋外で働く者)=[義務]
(2)(3)に該当する者 =[任意]で支給
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つまり、
空調が効いていて33度以上の室温になっていないオフィスなどの
職場で働く従業員さんに対して高温手当支給は、[浙江省]でも
[義務]ではありません。
浙江省の[2014年版]通知には、[支給条件]として[義務]
となる対象者が明記されています。
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・支給条件: 35度以上の高温の天気で、露天作業に従事しており、
会社が有効な措置をとれず作業場所の温度を33度以下
にすることができない場合
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(2)(3)は、この[支給条件]に合致していませんので[義務]とは
なっていません。
ただ、当局としては[支給を推奨したい]と考えているようで、微妙な
表現で回答してくることがありますので、ご注意ください。
もし、「ウチの地域は、違う回答だったよ」などの情報があれば、
ぜひ教えてくださいね!
[高温手当]は、地域によって解釈・指導に差異がありますので、
上海、浙江省(杭州市・寧波市以外も)以外の地域でご対応する場合は、
地元の当局に確認してからご対応ください。
いかがだったでしょうか。
何か、お役立てれば嬉しいです。
・・・・
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コゾノでした。