2014(48号)[基礎知識01]中国給与データに惑わされないコツ

◎ コゾノ式  良 く な る 通 信 ◎ 第48号

[基礎知識]シリーズ(その1)
中国給与データに惑わされないコツ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━:2014.04.08発刊:◎◎◎

◎ 48号のポイント

      中国[給与データ]の基礎知識(1)
    ◎もう惑わない!
       たった[2つの定義]を抑えるだけで、大丈夫!
       中国[平均賃金(給与)]を読み取る方法

 コゾノです。

 毎年、4月頃中国実務に「非常に重要」な給与データが発表されます。

 ● 上海市前年度[従業員平均賃金]

 です。

 今回は、

 中国・人事労務の[基礎知識]編

 と題して、『誰も教えてくれない、中国給与データの基礎知識』を
 お送りします。

 まず「中国給与」のデータを見るときは、

 ● その[定義]に注目!

 非常に重要です。[定義]。
 特に、[平均賃金]のデータはクセモノなんです。

 ● [平均賃金]:その[金額]には、何を含んでいるのか?

 という[定義]も重要ですが、

 ● [平均賃金]:その[平均]とは、何の平均なのか?

 この[定義]にも注目しなければなりません。

 ・・・と、深入りするとドンドン複雑になってしまうんですが。

 今回は、

 ◎ もう惑わない!
   たった[2つの定義]を抑えるだけで、大丈夫!
   中国[平均給与]を読み取る方法

 をまとめてみました。
 ぜひ、チェックしておいてください!

 不要なことを削り落として、できるだけシンプルにわかりやすく
 「中国給与をぶった斬り!」しましたので。

 今回も最後までお楽しみください。

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 <今回のポイント> 中国[給与データ]の基礎知識(1)

 ◎ もう惑わない!
   たった[2つの定義]を抑えるだけで、大丈夫!
   中国[平均賃金(給与)]を読み取る方法

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 たった[2つの定義]とは??
 今回は、「結論」から行ってしまいましょう!

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 ■ 惑わされないための中国[平均賃金]の2つの定義
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 (1)「平均」の定義:
   ⇒ [在崗]従業員と、[それ以外]。

 (2)「賃金(給与)」の定義:
   ⇒ [総額]給与と、[それ以外]。

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 まずは、この「2点だけ」を抑えておいてください。

 ちょっと詳しくご説明しておきます。

(1)[在崗]って何??
 
 特に、政府が発表する「公的」な「平均賃金」のデータを
 見るときに重要なのが、、

  ●[在崗]という文字が入った「平均」かどうか??

 です。

 つまり、

  ●[在崗職工(全部簡体字)]平均工資

 とあるかどうか。

 もしくは、たま~に入っている「定義の説明」にこの
 [在崗]の2文字が入っているかどうか、です。

 [在崗]職工とは、

  ● 「現役で在職」している従業員のこと

 を指しているとお考えください。

 『 え??
   普通、「給与」っていうなら「在職」が当たり前でしょ! 』

 ・・・とお感じかもしれません。

 でも、中国の場合「現役ではない」でも「在職(扱い)」に
 なっている人もいるんです。
 しかも、無視できないほど「多数」で!

 例えば、その昔[国営企業の整理]が行われたときに
 大規模な[中国版・大リストラ]があったんですね。

 そのときの「リストラ時の補償」が適用された人たちが、
  ●「協保人員」
  ●「内部退養人員」
  ●「停薪留職」
 などと呼ばれる方々です。

 こういった方々が、、

  ● 現役で在籍してないけど「籍」だけはある

 という「特殊」な状況となっています。

 つまり、[在崗]とは、こういった「特殊」な方々を外した
 [平均]となっていますので「数値は高め」になっています。

 ですので、、

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 (1)「平均」の定義: 使い方のポイント
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「公的な統計データ」において
 [自社の給与水準と比較]したい場合は
 [在崗]の[平均]を用いる

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 こんな風に覚えておいてください。

 ちなみに、

 ◎[上海市]の平均賃金は[在崗]では[ありません]
      
 でも、

 ◎[江蘇省]の平均賃金は[在崗]です。

 一時期、江蘇省・南京市の「平均賃金」は、
 上海市の「平均賃金」を上回っていました。
 その理由がコレです。

 あともう1点!
 このように覚えておいてください。

 ● 公的データの[平均賃金]とは、
 ・[在崗ではない]方が、「一般的(主流)」
  [在崗]の場合は、どこかに断り・説明があることが多い

 日本の「所得分布」は、

  ● [格差]が小さくて、[平均]が高い

 という、キレイな正規分布をした「先進国型」になっています。
 ですので、どこの「平均」を出しても
 そんなに大きく数値がかけ離れることは、少ないと言えます。

 ところが、中国の「所得分布」は、

  ● [格差]が大きくて、[平均]が低い

 という、「途上国型」の歪な分布です。
 ですので、どこの「平均」とするのかによって、
 データが大きく異なってしまいますよね。

 なので、自社との比較で「平均」を使うときは、、
 
  ◎ 対象を絞った[在崗]の平均を探す
 
 方が、「有効な数値になりやすい」と言えます。
 
 では、次です。

(2)中国も[総額]が「主」

 [賃金(給与)]の定義です。
 発表されている「数値」が何の数値を示しているのか?
 何が含まれていて、何が含まれていないのか??
 これを明確にしておかなければなりません。

 中国の[賃金(給与)]の構成要素から、ココを整理して
 おきましょう!

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
 (2)「賃金(給与)」の定義
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ● 賃金(給与)の構成要素
 [A]:社会保険[個人負担分]
 [B]:住宅積立金[個人負担分]
 [C]:個人所得税
 [D]:手取り額
 ————————————————
 ◎ 給与[総額]とは?
   =[A]+[B]+[C]+[D]の合計額
 ————————————————
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 こんな風にまとめてみました。

 実際は、各社さんで給与の項目を「基本給」とか「手当」
 とか名前を付けていると思います。

 でも「中国の法律・ルール」に当てはめると、

  ● [A]~[D]は全て賃金(給与)

 となります。

 [上海市・最低賃金]の定義はどうなっているかというと・・・
 
  ◎ 上海市[最低賃金]=[D]手取り額

 になっています。

 そして、、

  ◎ 北京市[最低賃金]=[D]手取り額

 上海と北京の[最低賃金の定義は同じ]です。

 ちなみに、他の都市も一通り調べてみたのですが、

  ◎[最低賃金]の定義が[D:手取り]なのは、、
   上海市と北京市[だけ]

 とお考えいただいてもOKだと思います。

 一方、[上海市・平均賃金]のデータ。
 [在崗]であっても、それ以外であっても、公的なデータ
 であれば、[平均賃金]のデータは基本的に

  ◎[平均賃金]
   = 給与[総額]([A]+[B]+[C]+[D]の合計) 
 
 になっています。
 なので、このように覚えておいてください。

 ● 公的データの[給与の定義]とは、
 ・給与[総額]が、「一般的(主流)」
  [手取り]の場合や、[社会保険のみ含む]などの場合は
  どこかに断り・説明がある

 [最低賃金]の定義も、中国全土的に見ると、、

 ● 社会保険・住宅積立金(個人負担分)も[含んだ]
   給与[総額]になっている地域の方が「圧倒的に多い」

 です。
 
 [最低賃金だけ]で都市別の所得水準を見比べると、実態を見誤る
 かもしれませんので。
 ご注意くださいね。

 [最低賃金]の数値だけをみると、
 上海よりも「高い」地域があったりします。

 でも、「一般的」な[給与総額]に直すと、
 上海市は、2013年の時点で既に[最低賃金2000元超え]を
 果たしていますから。 

 まとめると、、

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 ■ 惑わされないための中国[平均賃金]の2つの定義
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 (1)「平均」の定義:
   ⇒ 対象を絞った[在崗]のデータを探す。
 —————————————————
 (2)「賃金(給与)」の定義:
   ⇒ 一般的な[総額]で給与額を把握しておく。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 こんな風に把握しておくと、色んな給与データで
 惑わされることは少なくなると思います。

 ぜひ、知っておいてください!

 ・・・・

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小園でした。