2013(17号)上海:住宅積立金の強制査察!?(2013.04.26)

◎ コゾノ式 良 く な る 通 信[Gold]◎ 第17号

● 上海で住宅積立金の強制査察!?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━:2013.04.26発刊:◎◎◎

◎ 17号のポイント

  • 上海[住宅積立金]納付状況の検査(自主申告)が開始!
  • ◎ 住宅積立金って、なんだっけ?を解説
    ◎ ココだけの話。。住宅積立金「ぶっちゃけ対策」と、そのリスクとは?

     小園です。

     さて、今回のニュースは、
     あまり知られてませんが『 重要 』です!『 実務直結 』です!

     上海の「住宅積立金」の加入を強化・促進するために「検査・査察」
     しますよ、、という「通知」が発布されました。

     上海の「住宅積立金」は、現在の法律では、、

      ● 「都市戸籍」保有者であれば、外地人でも加入[義務]あり!

     となっています。

     「納付の[基数]を法律通りに申告しているか?」も含めた「検査」
     となっていますので、要注意です。

     ところが、この通知。
     報道もあまりみかけません。

     通知の方法が、なんと「担当者の携帯電話へのショートメッセージ」!

     説明しているのは、住宅積立金センターのホームページ程度しか見当た
     らない、、という不親切っぷり(?)です。 

     昨日、通知で窓口に指定されている「建設銀行」に行ってみてビックリ!
     問い合わせに押し掛けた担当者でごった返していました。

     1時間ほど待たされた挙句、、

     「 私たちも24日に送られてきたショートメッセージで知った。
       詳しいことは、私たちも今調べているところだ。 」と・・・。

     もしかしたら、他の区、支店でも同様かもしれません。

     そこで、今回の[良くなる通信]では、

      ●「住宅積立金の今」ポイントおさらい
      ● 気になる「査察!?」の中身(通知)のポイント
      ● 受付窓口担当者も知らなかった「ムダ」なく対応する方法
        ⇒ 実は、ネット上に「専用ページ」が用意されています

     『 え!?検査!?査察!?
       ・・・でも、ウチの従業員は対象者でも「加入したくない」
       って言ってるし。どうしよう?? 』

     ・・・といった方もご安心ください。

      ● 「グレー」に対応するとしたら、どんな方法が??
        また、そうしたときのリスクは??

     という、[限定配信]だからこそできる『 ココだけの話 』付き。

     この通知内容からすると、人事のご担当から総経理に「相談」が来る
     可能性が高そうです。

     相談が来る前に、通知の中身を知っておいてください。

     また、検査があることを「知らなかった」というご担当も多いかと
     思いますので、確認をご指示いただくのが良いかと思います。

     今回もぜひ最後までご一読ください!
     
    ◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
     <今回のポイント>
       『 住宅積立金納付の法律執行状況検査に関する通知 』
                      滬公積金管委会[2013]4号

      ● 住宅積立金「検査」の3つの対象項目
       1.[納付登記の有無]
       2.[対象者全員の口座開設]
       3.[正常な納付金額]

      ● 検査期間:2013年4月~7月
      ● 検査方法:
        STEP1:会社の「自己申告」
           ⇒ 2013年4月15日~5月31日まで
        STEP2:住宅積立金センターの「抜き打ち検査」
           ⇒ 2013年6月1日~
     —————————————————————-
    『 住宅積立金納付の法律執行状況検査に関する通知 』滬公積金管委会[2013]4号
     ◎通知原文は、コチラを
     ※ 出所:上海住宅積立金ネット

     ◎「2013年住宅積立金納付の法律執行状況検査」専用ページはコチラ
    ◎◎◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎

     住宅積立金。

     まずは、上海・住宅積立金事情の「背景」からおさらいしてみましょう。

     住宅積立金。中国名:「公積金」とは、
     国民が生まれてから死ぬまで「生・老・病・死・衣・食・住」の
     全て面倒を見ましょう!

     ・・・という旧社会主義体制の[住]の制度がカタチを変えて現代
     に至っている制度のことです。

     住宅積立金は、「住宅積立金センター(中心)」という独自のお役所
     が管轄しています。

     ただ、実務は委託を受けた「建設銀行」が行っています。

     「労働局(人力資源社会保障局)」は、社会保険だけを管轄しており、
     住宅積立金とは「無関係」ですので、ご注意ください。

     「住宅積立金センター」が「労働局」ほど積極的に加入を促進したり、
     働きかけたりすることも少なかったこともあって、10年ほど前まで
     「加入しなくても良い制度」という認識が色濃く残っていました。

     ところが!

     2008年から、徐々にではありますが「住宅積立金センター」が
     積極的に動き始めました。

     ————————————————————
     ◎ 『2008年度上海市住宅積立金納付基数と比率に関する通知』
                    (滬公積金管委会[2008]2号)
     ————————————————————

     この通知で明記されたのが、、

     ● 「都市戸籍」保有者に、住宅積立金の加入を[義務付け]

     です。

     つまり、
     ● 上海人であっても「農村戸籍」であれば、加入は[任意]
     ● 外地人であっても「都市戸籍」であれば、加入は[義務]
     となったワケです。

     そして、2012年1月。「加入強化」を狙った「罰則付き」の
     時限法が施行されています。

     ————————————————————
     ◎ 『上海市住宅積立金行政執行管理弁法
     ————————————————————

     この法律では、「自主的に住宅積立金の口座開設」を行うように
     規定しています。

     自主的に手続きを行わず、当局からの督促にも応じなかった場合、
     会社の設立年数に応じた罰金が科せられました。

     そして、2013年。
     住宅積立金の法律がどこまで執行されているかの「検査」が実施
     されます。

     通知内容の「ポイント」をチェックしてみましょう。

     「検査」は「調査」を兼ねているように思われます。
     ・・・ただ、痛いところを付いてきています。

    ◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
     ● 「検査」の内容
     1.会社の住宅積立金口座の開設
      ⇒ 会社設立から30日以内に住宅積立金の登記を行っているか?
        口座の開設を行っているか?

     2.従業員の住宅積立金口座の開設
      ⇒ 従業員を採用してから30日以内に口座の開設、移転手続きを
        行っているか?

     3.納付期日と納付額
      ⇒ 給与支給日の5日以内に規程通りの金額を全額納付しているか?
        未納の状況、過少申告が行われていないか?

     4.派遣従業員への住宅積立金加入状況
     5.農村戸籍従業員の住宅積立金加入状況
    ◎◎◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎

     「農村戸籍」の従業員については、加入は「任意」です。
     なので、5.は調査目的だと思われます。

     (⇒ブログ版:追記
       上海・農村戸籍は長らくの間「加入は任意」でした。
       ところが、5月になって・・・!
       詳しくは、[19号(13.05.14)]記事をご覧ください!)

     3.納付額をチェックするために直近の「社会保険納付通知書」を
     提出書類としています。

     [基数]の設定方法は、社会保険と同じルールですから。
     社会保険と同じ[基数]かを確認するためだと思われます。

     こういった内容の「検査」は2段階で行われます。

    ◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
     ● 検査方法:
        STEP1:会社の「自己申告」
           ⇒ 2013年4月15日~5月31日まで
     —————————————————————
     1.「検査表」の記入
      ※ 検査表は、住宅積立金センターの専用ページからダウンロード
        できます。
     ◎「2013年住宅積立金納付の法律執行状況検査」専用ページ
      http://www.shgjj.com/static/zfjc2013/zcbsb.html

     2.「検査表」の提出
     ・既に会社口座を開設している場合 ⇒ 所在地の「建設銀行」支店
     ・まだ会社口座を開設していない場合 ⇒ 住宅積立金センターへ郵送

     3.その他の提出書類
     ・社会保険納付通知書
     ・自社の状況が現行法規に合致していない場合 
        ⇒ 「点検報告書」と「改正計画書」を提出

       ※ この「点検報告書」と「改正計画書」がどのようなものかは
         まだはっきり分かっていません。
     —————————————————————
        STEP2:住宅積立金センターの「抜き打ち検査」
           ⇒ 2013年6月1日~
     —————————————————————
     [重点対象]に対して、「抜き打ち検査(抽出検査)」を実施。
     ● 検査内容
      ・ 「自己申告」時の状況の聞き取り
      ・ 「自己申告」時の「検査表」内容
      ・ 従業員名簿
      ・ 社会保険料の納付通知
      ・ 給与計算表
    ◎◎◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎

     『 ウチは法律通りにやっているから、抜き打ちが来ても問題ない 』

     という場合は、このタイミングで速やかに「自己申告」しておくことを
     おすすめします。

     『 抜き打ち検査が来るのか。。・・・ちょっとヤバいかも。。 』

     ・・・ということもあるかもしれません。

     今、各地の戸籍制度が動いていますので、「農村戸籍」だった従業員が
     気付かぬうちに「都市戸籍になっていた!」なんてこともありますから。

     では、この「検査」に引っかかってしまった場合。
     どうなるのか見てみましょう。

    ◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎◎◎
     ● 罰則:

     1.会社が「登記」をしていない場合、速やかに手続きを行うこと。
       会社が自ら改正しない場合、一定期間中の改正を命令。
       期間内に改正しない場合、1万元以上5万元以下の罰金。

     2.会社が対象者への「加入手続き」を行っていない場合、
       速やかに手続きを行うこと。
       会社が自ら改正しない場合、一定期間中の改正を命令。
       期間内に改正しない場合、1万元以上5万元以下の罰金。

    ★3.会社が「未納」、もしくは「過少申告」している場合、
       速やかに以下の手続きを行うこと。

      ◎(対象期間に)[さかのぼって納付手続き]を行う、
       もしくは、当局の要求に従って、改正計画を策定しなければならない。

      ◎(財政的に)納付が困難な企業は、規定に基づき
       ・ 納付比率の引き下げ
       もしくは、
       ・ 納付の延期
       を申請できる。

       会社が自ら改正しない場合、一定期間中の改正を命令。
       期間内に改正しない場合、人民法院に強制執行するよう要請する
    ◎◎◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎

     「ぶっちゃけ話」になりますが、住宅積立金の罰則は、、

      ● 命令が来ても、「未納分」だけを納めるだけ。。

     「追徴金」のようなものは科せられません。
     ですので、

      『 命令されれば、納めれば良いや! 』

     ・・・という考え方もできなくはないかもしれません。

     でも、これは「厄介な問題を先送り」しているだけ、、にもなります
     のでご注意ください。

     「厄介」というのは、「未納」というだけではありません。
     「過去にさかのぼって納付」を行う場合、従業員本人も「個人負担分」
     を過去にさかのぼった分も含めて納付しなければなりません。

     「先送り」すればするほど、この額は大きくなっていきます。

     ・・・と聞いて「心の中の悪魔」がこうささやいたかもしれません。
     
      『 ウッシッシ!オイ、チャンスじゃねーか?
        額が大きくなればなるほど、従業員は納付を辞退するぜ! 』

     ところが。。
     そうとも限らないんです。

     なぜなら、住宅積立金とは「強制貯金」のようなもの。

     つまり、

     ● 納付しておけば、定年退職するときには
       会社負担分も含めて、[全額が個人資産]になります。

     ですので、今は「納付したくない!」という従業員がいても、
     将来的にもずっとそう言い続ける保証はどこにもありません。

     例えば、中国で「定年退職」となっても「経済補償金」ゼロです。
     老後を真剣に考える段階になって、

     「一定額を貯金すると、倍額になって帰ってくる保証付きの貯金」
      ※ 上海の住宅積立金は、会社負担と個人負担が7%で同じ

     があることを知ったら・・・。

     もしかしたら、いつ爆発するとも限らない爆弾を抱えているような
     もの、、になってしまうかもしれません。

     「納付してくれ!」と主張され、住宅積立金センターに訴え出る
     ようなことになると、ほぼ「間違いなく納付命令」です。

     これが、グレーな対応をしたときの「リスク」です。
     この点は、充分ご認識ください。

     いかがだったでしょうか?

     今回の「検査」が、どこまでの本気度・徹底度で行ってくるかは
     まだ分かりません。

     ですが、「まずは自己申告」となっていますので、
     この機会に

     ● まずは、社内的に「キッチリ調査」してみる

     [良くなる]ための第1歩!
     そんなキッカケとお考えいただいても良いかと思います。

     今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    コゾノ式 良くなる人事・組織研究所:小園英昭
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