◎ コゾノ式 良 く な る 通 信 ◎ 第45号
[派遣規制]細則が正式決定!その中身は?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━:2014.11.20発刊:◎◎◎
◎ 45号のポイント
- 正式決定した[派遣規制]細則、『労務派遣暫行規定』の中身とは??
~ 重要ポイント[3]+1 ~
その1: [補助性]職位の[認定プロセス]について
その2: 全派遣従業員に対して適用された[総量規制]
その3: [同一労働同一賃金]の対象に含まれる[福利待遇]
[+1]: 2年間の[過渡期的措置]とは??
おはようございます!
小園です。
さて、今回は「火曜日の週刊号」はお休みにして、
昨日[速報版]でお知らせした、、
● 正式決定となった[派遣規制]『労務派遣暫行規定』の中身
について、どこよりも早く(たぶん)ご紹介していきます!
- 『意見徴収案』から、どのように変わったのか?
- 企業側として、何に注意しなければならないのか?
こういった点を中心に、
● 何がどうなったのか??
というポイントを把握しておいてください。
また、この記事を書いているときに「追加の通知」も公開されました。
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出所:『労務派遣暫行規定を貫徹実施する業務に関する通知』(原文)
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中央政府当局から、地方政府当局へ向けて発せられた、、
● どうやって『労務派遣暫行規定』を徹底していくのか??
の方針を表明した内部文書的な内容になっています。
この通知の内容についても、触れておきました。
春節前の「お正月モード」直前なのに、弁護士など専門家に
質問しまくって確認した事項ばかりです。
ここまでの「経緯」と、「おさらい」ポイントもまとめて
おきましたので、[総集編]のような力作になってしまいました。
春節明けから、対策の指示ができるように
派遣をお使いの方は、ぜひチェックしておいてくださいね!
それでは、今回も最後までお楽しみください。
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<今回のポイント>
正式決定した[派遣規制]細則の中身は??
~ 重要ポイント[3]+1 ~
◎ その1: [補助性]職位の[認定プロセス]について
◎ その2: 全派遣従業員に対して適用された[総量規制]
◎ その3: [同一労働同一賃金]の対象に含まれる[福利待遇]
[+1]: 2年間の[過渡期的措置]とは??
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出所:『労務派遣暫行規定』
※ このリンク先は、「記者会見での質疑応答」になっていますが、
ページ最下部にある<<労務派遣暫行規定>>と書いた青字の箇所から
ワードファイルをダウンロードできるようになっています。
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出所:『労務派遣暫行規定を貫徹実施する業務に関する通知』(原文)
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さてさて。
このメールマガジンでも度々お騒がせしてきた[派遣規制]です。
私たちも昨年から、ウワサ情報に振り回されっぱなしでした。
でも、この「ウワサ」は根も葉もない情報ではなかったようです。
まずは、ざっくりと「おさらい」しながら、これまでの流れを
振り返ってみましょう。
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※ 「そんなことより、要点を早く教えろ!」という方は、この
メールの下部にある、このマーク
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◎ いよいよ「本論」!
3つの重要ポイント[+1]
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コチラの標題のある箇所以降をご確認ください。
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◎ まずは「経緯」をふりかえり。
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始まりは、2013年の年明け早々でした。
『労働契約法の修正に関する決定』という通知が発布され、
中国における[労務派遣が規制される]ことが決定しました。
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参考:『「中華人民共和国労働契約法」の修正に関する決定』
●(コゾノの解読翻訳版)
http://www.mshonin.com/Admin/bin/3576/images/130104_shuseikeiyakuhou_JP.pdf
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施行日は、2013年7月1日からとされたのですが、
詳細(「一定比率以内」とした派遣従業員の具体的比率など)は
明らかにされないまま、施行日は過ぎ去りました。
そして、迎えた2013年8月7日。
その詳細を定めた『細則の意見徴収案』が公開されます。
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参考:『労務派遣若干意見』(意見徴収案)(原文)はコチラから↓↓
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/zxhd/SYzhengqiuyijian/201308/t20130807_109508.htm
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ところが、この[意見徴収案]の内容は驚くべき内容になって
いました。
いわば、「規制が“骨抜き”にされている!?」とも言えてしまう
ような内容だったのです。
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参考:メールマガジン[良くなる通信]27号
えっ!?と驚く、派遣規制・細則の中身
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弁護士からも法律的な矛盾点が指摘されるなど、
「いったいぜんたい、本当のところどうなるんだろうか??」
と「やきもき」させられる内容とも言えました。
しかし。
2013年9月に「意見募集」が締め切られて以降、一向に
正式決定する気配がありません。
「規制を推し進めたい、総工会・人社部側と、
既得権益を守り抜きたい、国有企業側とのし烈な利害調整」
のウワサ話がモレ伝わってくるだけでした。。
ところが!
状況は、2013年末に一転します。
□「実は、北京の当局(人力資源社会保障局:以下、人社部)内
では、既に法案ができあがっているらしい」
□「年末に国務院に提出し、そのまま決定となり年内には、
いよいよ発表されるゾ!!」
という、マコトしやかなウワサが出回り始めたのです!
「いよいよ来たか!?」
・・・2014年になっても公表されないままの日々が過ぎ去ります。
1月10日頃には「国務院で否決されたようだ」と語られ始めました。
「また長引くのか??」
・・・と思われた矢先、『怪文書』が出回ります。
□「正規の細則が、決定した」
□「内容は、コレだ!」
どこから流出したのか分かりませんが、「それらしい内容」になって
いました。それが、先週の1月23日前後のことです。
そして、迎えた2014年1月26日(日)の夕方でした。
正式な細則『労務派遣暫行規定』が公布されたのです。
『中華人民共和国人力資源社会保障部令 第22号』と題された
文書には、「2013年12月20日に[人社部]を通過」とあります。
また、実際に「国務院で否決された箇所」もあったようです。
『怪文書』は、ほぼ同じ内容で、一部だけ修正されているところを
見ると、「ウワサ情報」は根も葉もない情報ではなかったのかも
しれないですね。
こうした紆余曲折を経た『労務派遣暫行規定』ですが・・・。
●[意見徴収案]とは、まるっきり異なる内容
と言っても過言ではないほど「逆戻り」しています。
端的に表現するならば、、
● 限りなく[直接雇用]に近い状態になる
と読み取ることもできてしまいます。
●[2年間の猶予期間]
が加えられた上で。。
しっかりと[ポイント]をご理解いただくために
もう少しだけ「おさらい」にお付き合いくださいね。
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◎ そして「おさらい」
[派遣規制]3つのポイント
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中国の[派遣規制]には、大きく3つのポイントがありました。
それぞれに対して[意見徴収案]では、[★]のような内容に
なっていました。
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[派遣規制]3つのポイントと[意見徴収案]の内容
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①[同一労働同一賃金]の原則
⇒「派遣だから」という理由だけで「給与が違う」のはダメよ
、、という規制。
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★「意見徴収案」の段階では、同一賃金とは[給与の分配方法]
が同じであることを意味しており、[福利待遇はベツモノ]
と考える、、という意見が中心でした。
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②[三性]の職位にある[補助性]の定義の仕方をどうするか?
⇒ 三性のうち、その他2つの定義に比べて[補助性]の定義
が「あいまい」であることが問題視されていました。
※[臨時性]:6ヵ月以内の業務
[交替性]:中長期の休暇や海外研修などによる不在中に
他の労働者が交替する職位
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★「意見徴収案」では、会社が業界・業務の特徴に合わせて
[補助性に該当する職位のリスト]を作成してから、工会や
従業員代表との協議を経て確定する、、とされていました。
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③ 派遣従業員の比率を一定範囲内に抑える[総量規制]
⇒ 全従業員に占める「派遣」従業員の比率を一定割合までに
規制します、、というのが[総量規制]の意味。
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★「意見徴収案」では、[補助性]の職位に使用する派遣従業員
の比率を[従業員総数の10%以内]と規定していました。
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この「意見徴収案」が、[正式版]『労務派遣暫行規定』では、
どうなったのでしょうか??
お待たせしました!
『労務派遣暫行規定』条項の日本語訳と、
【コゾノコメント】に[CHECK!]ポイントも付け加えて、
まとめておきました。
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◎ いよいよ「本論」!
3つの重要ポイント[+1]
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コチラです↓↓
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[派遣規制]『労務派遣暫行規定』では、こうなった!
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①[同一労働同一賃金]の原則
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第9条(公平な福利待遇)
派遣先は、労働契約法第62条(派遣先の義務)の定めに従い、
派遣従業員に職位と関連する[福利待遇]を提供しなければ
ならない。派遣従業員を差別ししてはならない。
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つまり、、
「ベツモノ」との解釈が一転し、、
●[同一労働同一賃金]には、付随する[福利待遇も]含む!
と[明記]されました。
◎【コゾノコメント】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国有企業は、企業年金などの[福利待遇]に差異を付けて
人件費を抑制するために、派遣従業員を多く用いてきた経緯が
ありますので、かなり影響の大きな解釈の変更となるかもしれ
ません。
[CHECK!]派遣と正規社員との[福利待遇]の差異を確認して
おいてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②[三性]の職位にある[補助性]の定義の仕方をどうするか?
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第3条(三性の職位)
派遣先が[補助性の職位]で派遣従業員を使用する際には、
[従業員代表大会、あるいは全従業員]との討論を経て、
方案と意見を提出し、[工会、あるいは従業員代表]との
共同協議によって確定し、会社内に公示しなければならない。
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つまり、、
●[就業規則]などと同じ[民主のプロセス]を経る
ように変更されています。
◎【コゾノコメント】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弁護士によると、[民主のプロセス]では必ずしも「同意」を
前提としたものではありません。
全員に説明する。意見を聞き、質問に答える。最終案を会社が
法律の範囲内で決定していれば、仮に工会・従業員代表が同意
しないとしても最終決定とすることも可能です。
[CHECK!][補助性]について会社側の見解はまとまっていますか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
③ 派遣従業員の比率を一定範囲内に抑える[総量規制]
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第4条(使用比率)
派遣先は、厳格に派遣従業員の総人数を抑制しなければならず、
[使用する派遣従業員の総数]が、従業員総数の[10%]を
超えてはならない。
従業員総数とは、会社と労働契約を締結する人数と、使用中の
派遣従業員の人数の合計を指す。
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つまり、、
[意見徴収案]では、[補助性]の職位に適用されていた
[総量規制]の対象が、、
●[全派遣従業員]を含めた比率が[10%]以内
とするように変更されています。
[10%]を超える場合は、どうすれば良いのか??
それが、[+1]です。
[+1]:[2年間]の過渡期的措置を認める。
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第28条(過渡期措置)
派遣先は、本規定実施前に使用する派遣従業員の人数が、従業員
総数の[10%]を超える場合、改善方案を作成し、[本規定
実施日から2年以内]に規定された比率に下げなければならない。
(中略)
派遣先は、作成した改善方案を当地の人力資源社会保障行政部門
に報告し、記録を残す。
派遣先は、本規定実施前に使用している派遣従業員の人数を総量
制限の要求を満たさない状況で、
[新たに派遣従業員を使用してはならない]。
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つまり、、
まとめると、このようになります。
●[2年]の過渡期期間中になすべきとしている事
Step1:[10%以内]とする改善方案をまとめる。
Step2:方案を管轄の[人社局 行政部門]に報告する。
Step3:[2016年2月末]までに[10%以内]
を実現する。
この期間中は、新たな[派遣従業員を使用してはならない]。
◎【コゾノコメント】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弁護士によると、あくまでもこの[2年の過渡期的措置]とは、
[10%以内の総量規制]に対する措置と読み取れるものであり、
[同一労働同一賃金]など他の施策は含まない、との見解です。
[CHECK!]現在の[派遣従業員]の具体的状況は明らかですか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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、、と、主要なポイントをまとめると以上のようになっています。
施行日は、2014年3月1日。
「春節明けから、具体的な対応策を検討し始めなければ・・・!」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに、
●[10%以内とする改善方案]をいつまでに当局へ報告するのか?
などの具体的期日については、規定内には定められていません。
ただ、冒頭にご紹介した、昨日(1月27日)公開された、、
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出所:『労務派遣暫行規定を貫徹実施する業務に関する通知』(原文)
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コチラの通知によると、当局側が積極的に調査・検査を実施
していくように求めています。
ですので、派遣を多く利用されている企業さまには、
● 当局からの「お達し」
というカタチで、改善案の作成を求められることになりそうです。
いかがだったでしょうか?
「なるほど~。そういうことか。」
とスッキリご理解いただけると嬉しいです。
・・・とはいえ。
きっと、コレだけの情報で対策案を考えるのは「まだ不安だな。。」
かもしれません。
実は、調査しまとめていく中で「規定に書かれていない重要な視点」に
気付きました!
この視点をご活用いただければ、
●[戦略的な]派遣の活用方法
が見えてくるかもしれません。
この仮説をちょっと検証してみます。
うまくいきそうなら、またお伝えしますね!
次回も楽しみにしていてください!
追伸)
今回取り上げた、派遣規制の細則『労務派遣暫行規定』について
その他知りたいことがあれば、ぜひ↓下部↓の「コメント機能」
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コゾノ式 良くなる人事・組織研究所
小園 英昭